Laurel watching ants
Laurel watching ants / oddharmonic



こんばんは。今日はどんな一日でしたか?

私は、とっても気に入った言葉を見つけて、しみじみと考えにふけりました。こちらの記事です。

我が輩はうつ病である。やる気はまだない。|ゆううつ部 by U2plus

グレゴールもナボコフも知らない私の心に残ったのはこの言葉。

僕たちはそれぞれの事情で、ある日うつ病を患いました。

音楽が聴けない。本が読めない。

コミュニケーションがとれない。

脳髄にセメントを注ぎ込まれる感覚。

THE 変身。

あぁ、そうだ。音楽も本も楽しめなかった。人と関わることにもウンザリしていた。常に思考停止。そう、まさに「脳髄にセメントを注ぎ込まれる感覚」でした。グレーのドロッとした液状のものが脳内に流れ込んでくる異物感、あらゆる物質と結合して固まってしまう恐怖。あぁ、なんておぞましいことでしょう。こんなんに耐えてるあなた、すごいよ、ホントに。

さらに、脳髄という単語から、私の頭には「脳髄は物を考える処に非ず」というフレーズが浮かびました。これは、『ドグラ・マグラ』で語られる論文の一節。そこで主張されるのが、細胞の一つ一つが意識を持っていて、脳はその細胞を媒介する電話交換手のような役割だということ。

そのようなことを思い出していると、先ほどのイメージに変化が。何百匹ものありんこがセメントの海に溺れているのです。そう、脳髄に注ぎ込まれたセメントに。しかし、それでも蟻の行列は続きます。何も知らずに事故現場に向かうありんこ達。

えらいこっちゃ……!

大惨事です。意識を持った細胞(ありんこ)が脳髄に注がれたセメントに溺れる。そりゃ、音楽なんて聴いてられませんよ。本なんて読んでられませんよ。コミュニケーション取るどころじゃないですよ。ヤバいよヤバいよ! 固まっちゃうよ!

それが、うつ病。

キツいですね。焦りますね。



でも、そのありんこ、ただのありんこではなかったんですよね。

変身した僕たちにも羽が生えたのかもしれません。

実は、羽アリだった! 


セメント流れてきたら、飛んで逃げれる!

ヨカッター。



そして私は思うのでした。

「逃げるが勝ちよ。フン」




<本日の一冊>
夢野久作 (1935年) 『ドグラ・マグラ』

日本三大奇書の一つと称される作品。「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来たす」なんてコピーがあって、「ってことは、私はすでに精神に異常をきたしてるから大丈夫ね。てか、うつ病治っちゃうかもね」なんて思いながら手に取りました。

そのときはうつ病の症状が最もひどく、無理やり読み始めたのですが、読み進めるうちにドキドキしながら夢中になっている自分がいて、「体中の細胞に意識があるってどゆこと?!」と興奮したものです。

ネット上でも読めます。
青空文庫 ドグラ・マグラ




【関連記事】
>>うつ病から立ち直るための具体的なアドバイスをゆううつ部・部長がまとめたインタビュー本が気になる
U2plus代表&「ゆううつ部」部長の東藤さんご本人からコメントいただきました。