Blown off
Blown off / Shermeee



秋色いよいよ深く、夜長のころとなりました。読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋……。 あなたはどんな秋をお過ごしでしょうか?

私は、“言い訳の秋”を謳歌中。おかげで今日も心の平和が保たれております。

「言い訳力」を高めよう


気分が落ち込んだり、何もする気になれないとき、「自分の意志が弱いんだ」「私がすべて悪いんだ」と自分を責めてしまうことはありませんか?

これらはうつ病の症状として説明されていますが、心の傷は目に見えませんし、病気のせいで気持ちや考え方に影響が出ていると言われても、なかなか実感できませんよね。

私もそうでした。「うつ病がそう言わせているだけだよ」と慰められても、「その原因は、私の心が弱かったからだよね」と考えてしまうんです。どんなに考え方を変えようとしても、反射的にそういう思考が浮かんでしまって……。

このような自責感を、「スッキリ解消!」というのは難しいですが、自責モードに歯止めをかけるきっかけとして役に立つ考え方があります。

ズバリ、「季節の変わり目だからね」と言い訳する

不調の原因を気候のせいにしてしまうんです。気分が落ち込み無気力なのは、季節の変わり目だから。眠り過ぎてしまうのは「秋(春)眠暁を覚えず」だから。

そうすると、「自分が悪いわけでもないし、自分以外の誰かが悪いわけでもないよね」「しょーがないね」という考えが生まれるんです。自分の力でコントロールできなければ、あきらめるしかありません。

効果抜群!辛酸なめ子流の言い訳


「季節の変わり目だからしゃーない」という言い訳以外にも、便利な言い訳をいくつか見つけました。コラムニスト・辛酸なめ子氏が提唱する女子の処世術「すべて世の中のせいにしてしまえ」という教えです。

何かイヤなことがあったら、生まれてきた時代や社会が悪いんだと思えば良いかもしれません。自分だけブランド品を持っていないのも親の業種が世の中の不況の影響を受けてしまっているせい、クラスが殺伐としているのは環境ホルモンのせい、友だちがイライラして当たってくるのは携帯の電磁波のせい、etc.……。スケールの大きい社会問題にすりかえることで、矮小な個人の問題から目をそらすことができ、悪口にエネルギーを費やさず、心の平安が保てます。
(『14歳の世渡り術 女子の国はいつも内戦』より)

個人の問題をスケールの大きい社会問題にすりえかるわけですから、論理的には成立しません。そこがミソなんですね。

では、実際にこれらの言い訳で、心のモヤモヤが晴れるか試してみましょう。

Q. なんでみんな私のことを理解してくれないの?
A. 生まれてきた時代や社会のせい。

Q. なんで自分に合う仕事が見つからないの?
A. 世の中の不況の影響を受けてしまっているせい。

Q. 毎日泣いてばかりなのは?
A. 環境ホルモンのせい。

Q. 死ぬことしか考えられないのは?
A. 携帯の電磁波のせい。

いかがでしょう? 少しは自分に向いた攻撃が弱まりそうじゃありませんか?

「言い訳力」を高めよう 実践編


一般的に言い訳は悪いことです。例えば、こんな場面。

上司:なんで遅刻したんだ!
部下:あ、その、電車が遅れまして……。
上司:言い訳するな!
部下:(えー! 聞いたから答えただけじゃん!)

笑いのネタにもなりそうな話ですが、言い訳すると大抵このように怒られます。でも実はこのやりとりはすごく大事。同じ場面で、自責感の強い人が受け答えをしたらどうなるでしょうか?

上司:なんで遅刻したんだ!
部下:申し訳ありません! 二度とこのようなことがないよう気を付けます!
上司:お前のせいで周りも迷惑しているんだぞ! わかってるのか!
部下:はい! すみません!(ほんとは電車が遅れたからだけど、言い訳はダメだ!)

笑えませんね。必死に謝ってもさんざん怒られて、自分が情けなくなります。上司のことも嫌いになってしまいそう。このことで職場の雰囲気もギスギスしてしまうかもしれません。

では、先ほどご紹介した言い訳を使ったらどうなるでしょう?

【ケース1】
上司:なんで遅刻したんだ!
部下:時代に乗り遅れてしまいまして……。
上司:何を言ってるんだ!
部下:(あー、怒ってるなー)

【ケース2】
上司:なんで遅刻したんだ!
部下:環境ホルモンのせいで身体が動かなくなりまして……。
上司:そんなバカなことあるか!
部下:(鼻息めっちゃ荒いなぁ~)

【ケース3】
上司:なんで遅刻したんだ!
部下:携帯の電磁波のせいで思考回路がショートしまして……。
上司:今に始まったことじゃないだろ!
部下:(言うよねぇ~)

上司の怒りは収まらないかもしれませんが、「遅刻など許さん!」と憤慨する上司の出鼻をくじくことはできるのではないでしょうか。さらに、適当な受け答えをすることで、自分へのプレッシャーも弱まります。一石二鳥ですね。

まとめ


これまで私は、言い訳をしないことが美しいと思って生きてきました。うつ病と診断されてからも、「悪いのは誰のせいでもなく自分」「自己責任」と強く感じながら日々を過ごしてきました。

それはそれはつらい毎日。常に自分をいじめているのですから当然です。

しかし、だんだんと「自分が悪い」という考えだけでは説明がつかなくなり、これまで慣れ親しんできた思考を変えざるを得なくなりました。そうして今はこう思うようになりました。

いかに相手(自分)の心を掴む言い訳をできるかが重要なのだ!

失敗したり、間違えたときに反省することは大切です。でも、その反省を深め過ぎたり、こだわり過ぎたりすると、自分を責める材料になってしまうかもしれません。

まじめな人ほど、そのカチコチ頭を柔らかくしなければなりません。本質を見抜くためには、柔軟な態度と冷静な判断が必要です。そのためには心身をリラックスさせるのが一番。ユーモアが効きます。

「私が悪いんです何もかも」という自責感で苦しくなったら。今日ご紹介した言い訳を唱えてみてください。

「季節の変わり目だから仕方ないね」

あなたの心に平和が訪れますように。



<本日の一冊>
辛酸なめ子 (2008) 『女子の国はいつも内戦』 河出書房

彼女の発想力には頭が上がりません。
  • 五円によるご縁計画
  • 同窓生カルタ
  • 男の手
  • ひとりt.A.T.u
  • 友達査定ネイル
  • 友情ファイル&ソウルメイトスタンプカード etc. 
素晴らしいアイデアが満載の一冊です。