昨日、NHKで放送された「ここが聞きたい!名医にQ」のうつ病特集。

高齢者や病気をきっかけに発症するうつ病について、自殺を防ぐ手立てや再発予防について紹介されました。

いろいろ勉強になったので、備忘録も兼ねてまとめておこうと思います。

ここが聞きたい!名医にQ「うつ病 あなたの疑問に答えます!」


【目次】
  1. 高齢者のうつ病
  2. うつ病の主なサイン
  3. うつ病の治療法
  4. 症状が改善してからの過ごし方
  5. うつ病と併発する病気
  6. 幅広く、専門的に対応するリエゾンチーム
  7. うつ病と自殺
  8. うつ病の再発を防ぐには
  9. うつ病患者とお酒
  10. うつ病と向き合うために

【出演者】
高齢者のうつ:慶應義塾大学教授・三村將(みむらまさる)先生
病気とうつ:日本医科大学武蔵小杉病院診療部長・岸泰宏(きしやすひろ)先生
自殺予防:横浜市立大学教授・河西千秋(かわにしちあき)先生

ゲスト:自身もうつ病を経験した音無美紀子さん。

1.高齢者のうつ病


「1人ぐらい何とかなる」と考える高齢者は多く、強い孤独感が自殺につながる場合があります。また、自殺を引き寄せる原因として、家族を失うことが挙げられます。

中高年男性に多いのは、自ら助けを求めないケースです。
  • 健康の喪失…若いときにできたことができなるなどの衰えを感じる
  • 役割失う…定年退職などによる社会的役割の喪失
  • 入院・手術…痛み、病気がきっかけでうつ病を引き起こす
  • 東日本大震災…被災した場合はもちろん、被災していなくても間接的に影響を受けることもある

[うつ病を患う高齢者の体験談] 
「自分が存在する価値がないのでは?」という思いが強くなり、不眠などの睡眠障害に苦しんだ。

うつ病を早期に発見するためには疑ってみることが大事です。

2.うつ病の主なサイン


うつ病の主なサインは気分の落ち込みや興味・関心の喪失です。

その他にも、眠れない、食欲がないという症状が出ることもあります。このような状態が1日中ずっと、2週間以上続く場合にはうつ病の可能性が高いと言えます。

3.うつ病治療、4つの療法


①精神療法 
患者の心理教育。効果・見通しの説明。付き添いの方がいる場合には、一緒に話を聞いてもらいます。

②環境を整える
心身の休養をとることができる環境、安らぎを感じられる環境を整えるようにします。

③薬
高齢者の場合、他の病気のための薬を飲んでいる人が多いので、飲み合わせに注意。効果が強すぎたり副作用が出たりすることがあります。

④修正型電気けいれん療法 
前頭葉に刺激を与えることにより症状を改善させる療法です。全身麻酔をかけ、左右のこめかみに電極を装着し、数秒間、電気刺激を与えます。これを3日おきに10回行います。


[修正型電気けいれん療法の体験談] 
林広子さん(仮名) 54歳・女性
うつ病治療を始めたものの、なかなか効果が見られない。気分は落ち込み、暗くなるばかり。

このような抗うつ薬が効かない重病患者さんには、修正型電気けいれん療法が用いられます。修正型電気けいれん療法は痛みもなく、わずかに突っ張る程度。通電療法にも通じます。

林さんの場合、5回目ぐらいから効果を感じ、回を重ねるごとに効果を実感するようになったそうです。


【修正型電気けいれん療法を勧めるケース】
  • 難治性うつ病
  • うつ病が重篤の場合
  • 自殺企図・希死念慮など緊急を要する場合

【修正型電気けいれん療法を用いるメリット】
一部記憶障害が引き起こされる場合はありますが、副作用が少ないと言われています。また、療法後に薬の効果が変化し、効果が表れる場合もあります。

4.症状が改善してからの過ごし方


うつ病急性期を過ぎ、ある程度、症状が改善したら。
  • 電車に乗ってみる
  • いろいろな人との関わりを持つ
  • 体を動かす
  • 以前好きだったことをやってみる
難しく考えすぎず、チャレンジしてみることが大事です。


[音無美紀子さんの体験談]
音無さんのうつ病が快方に向かうきっかけは、子どもと料理を作ったこと。一緒におにぎりを作っているときに、娘さんが「三角にできるのがスゴイ!」と喜んでくれた。そのことで、「自分にも出来ることがあるんだ」という気づきにつながった。
 
共同作業をすることはプラスに働くことが多いんですね。そして、どんな小さなことでも、できたことに目を向けること、自信を持つことが大事です。
 
音無美紀子さんインタビュー

5.うつ病と併発する病気


[がん発症をきっかけにうつ病になった体験談] 50代・男性
がんをきっかけに悲しい気持ちが強くなり、何も手につかない状態に陥った。自殺未遂したのをきっかけに、うつ病と診断された。


「がん」などの病気はショックが大きく、前向きに考えられなくなります。そのような不安感はうつ病でなくとも誰もが感じるものです。そのために、このようなマイナスな気持ちは見逃される場合も多いようです。

がんと併発するうつ病に対しては、医師が連携して対応する病院が増えています。診察後に主治医が外科医と情報を共有することで総合的に病状を知ることができます。


【うつ病を併発しやすい要因】
  • 死に関わる病気告知のショック、再発の不安
  • 痛みや不安からくるもの
  • お金の心配
  • 内分泌系の病気

【病気を患う期間が10年間に及んだ場合にうつ病を併発する確率】
  • 脳梗塞:3.4倍
  • 糖尿病:2.3倍 うつ病になると、セルフケアが出来なくなるため注意が必要。
  • 心筋梗塞:5.6倍 アメリカでは必ずうつ病でないかチェックする。

6.幅広く、専門的に対応するリエゾンチーム


[左足を切断した女性の体験談]
病気により左足を切断した女性。ない足の痛みを感じるようになったことがきっかけでうつ病を発症した。


このようなケースはまず、精神科医によるケアを行います。精神科医だけではカバーできない場合、緩和チームを組んで治療を行います。これはリエゾンチームとも呼ばれ、身体科と精神科が連携して対応していくものです。

チームで考え、支えることにより、患者との信頼関係が築けます。このようなチームは患者にとって心強い存在となります。

7.うつ病と自殺


【死を思いとどまった理由】
体験談をもとに、死を思いとどまった理由を紹介。
  • 妻を残して死ねない
  • 2歳の息子のことを思うと死ねない
  • 医師や友人の存在に気付いた
大事なことは、家族とのつながり・夢・希望を持つことです。


【大切な人に「死にたい」と言われたら・・・】
重大な言葉にたじろいでしまうかもしれません。そのような場面で必要なことは以下のような対応です。
  • 患者の気持ちを受け止め、ねぎらいの言葉をかける。
  • 「死にたい」という苦しい胸の内をようやく伝えることができた事実を肯定する。

【自殺企図、希死念慮がある患者へのメッセージ】
自殺が家族に与える影響はとても大きなものです。
 
「自分自身のためにも死なないで」

「死にたい」という思いは、勇気を出して医師やナースに相談してみて、と医師は伝えます。


【自殺を防ぐために助けになる存在】
  • 友人・家族 
  • 医療機関
  • 市町村役所の相談窓口
  • 自殺予防対策担当部署
  • 精神保健福祉センター
  • 民間の相談施設

8.うつ病の再発を防ぐには


うつ病の再発率は50%にのぼると言われます。再発を防ぐためには、うつ病の特徴を知り、自分のパターンに気付くことが大切です。

自分なりにうつ病のサインが出たら危ないと意識し、自分の考え方を変えていくように心がけましょう。

9.うつ病患者とお酒


うつ病患者はアルコール依存に陥りやすくなります。「落ち込むのが嫌だから」「眠れないから」という理由でお酒を飲む人がいますが、根本的な解決にはなりません。それどころか睡眠の質が悪化してしまいます。また、自殺につながる可能性もあります。

お酒に頼るのではなく、適度な運動を心がけましょう。その際、無理な運動はせず、主治医と相談しながら決めましょう。

10.うつ病と向き合うために


[うつ病を疑う家族を持つ女性の体験談]
うつ病と思われる夫が病院に行きたがらない。どのように声をかけたら良いのか?

「あなたはうつ病だから」と無理やり連れて行こうとはせず、「眠れるように相談に行きましょう」などと具体的な悩み解決方法を示しましょう。

感想


以前放送された番組のまとめということで、多くの情報が凝縮されていて勉強になりました。

うつ病克服のための情報というよりは、実態を示す啓蒙的な内容。名医3名による解説ということで、もう少し具体的なアドバイスを期待していたのですが、うつ病に関する情報は多岐にわたるため、そこは仕方ないことなんでしょうね。

さまざまな体験談は、うつ病への理解を深めるために役立ちます。本人しかわからない悩みや苦しみをもっと詳しく知ることができたら、偏見も少なくなると思います。

増え続ける現代病「うつ病」。つらい思いを抱えている人の心が軽くなることを祈るばかりです。


<参考サイト>