先日、公園でボーっと過ごしていましたら、こんな光景に出くわしました。
ごっこ遊びをする子ども達。その中で、ある一人の子どもが口にしたセリフ。
「最近ストレスが溜まってて~」
おそらくお母さん役なのでしょう。それが妙にリアルなんですよね。そんな姿を見て思わず笑ってしまいました。と同時に、ちょっと複雑な気持ちに……。
それほどまでにありふれた「ストレス」という言葉。いざ、その正体を問われたら、あなたは答えることができますか?
「ストレス」とは?
「ストレス」という言葉を聞いて、どんなことをイメージしますか?
私が持つストレスのイメージは、「胃が痛くなる」「どす黒く、重い、岩のような塊(かたまり)」「暴力的で心に突き刺さる攻撃」と、かなりダークな印象です。
最近読んだ本の中にその答えがありました。
世界で初めて「ストレス」という言葉を使ったのは、生物学者のキャノンさん。そして、その考えを受け継いだのが生理学者のセリエさん。
セリエさんはストレスの性質を明らかにしました。また、ストレス学説を新たに発表。
その名も「汎適応症候群(はんてきおうせいしょうこうぐん)」。
なんだそりゃ?
セリエによる「ストレス」の定義
*どんなときでも生物の身体に何らかの反応を起こさせるものが「ストレッサー(ストレス刺激)」である。刺激そのものと、それに対する反応。
*それにより生体に生じる反応が「ストレス(ストレス反応)」である。
日本ではこの2つを区別せず「ストレス」と呼んでいるので混乱してしまう、とのこと。
先ほど私が思い浮かべた3つのイメージも「ストレッサー」と「ストレス反応」を混同しています。
「胃が痛くなる」 → ストレス反応
「どす黒く、重い、岩のような塊(かたまり)」 → ストレッサー
「暴力的で心に突き刺さる攻撃」 → ストレッサー
すべてのストレッサーが有害ではない
できることならストレスのない日々を送りたいですよね。でも、私たち生物にとってストレスは必要不可欠なものなんですって。
ストレスのない生活に憧れる私に向けたショックな説明もあります。例えば……
あなたが目隠し、耳栓、鼻栓をされて体温と同じ温度のお湯につかっているとしましょう。最初はまったく刺激がないことがストレッサーとなり、あなたの身体にはストレス反応が生じます。しかし、時間たち、その状態に慣れてしまうと、今度はストレス反応と別の異常が生じます。何と、刺激がないことが「ストレッサー(ストレス刺激)」になってしまうんですね。
「無害な環境で育つと、ストレス防御力や抵抗力が弱まる」というラットによる実験結果があります。そのことから、高橋氏はこう説明します。
生命を維持するためには適度な緊張が必要です。常に弛緩した状態で生活を送ることはできません。適度な緊張を保つためには、必要なときに適度な刺激を与えてくれるストレッサーが必要つまり、ストレス刺激には有益なものもある、ということですね。生きていくためには適度なストレス刺激による鍛錬を積めと。
はい……精進します。
ストレッサーにより引き起こされる障害や病気
先ほどの「刺激がない」ストレッサーにさらされたら、という例え話の続きです。
無害な環境によるストレス刺激を感じたときの反応として挙げられるのは、不安、怒り、動悸、冷や汗など。人により、ストレス反応の起こりやすさは異なります。
さらに悪化すると、
身体的な異常としては自律神経の失調などが、精神的な異常としては幻覚、妄想や極端に暗示にかかりやすくなる、などの症状が出現します。
何も刺激がない状態が一番ラクだと考えていた私。その状況により、神経や精神の働きが低下するなんて、ちょっと怖くなります。
さいごに(次回予告)
「ストレスも必要なものなのよ~」とは言っても、人生はストレスだらけです。
きっとあなたも、さまざまなストレス刺激により心身が壊れてしまった、そんな辛い経験があるのではないでしょうか。
ストレスとうまく付き合っていくにはどうしたらいいのか?
次回、ストレスの対処法について考えていきたいと思います。
【つづき】
ストレスを手玉に取る方法 準備編
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