あなたが今通っている心療内科・精神科の主治医はどんな人ですか?

話をちゃんと聞いてくれますか?
病状や治療法について、しっかり説明をしてくれますか?

あなたは主治医を信頼していますか?


これらの質問に「YES」と素直に言えない人。そのモヤモヤ、見て見ぬふりで大丈夫でしょうか……?

主治医に対する不信感


私の現在の主治医は4人目。先生が変わった理由は、引っ越しのために転院したり、先生の都合により担当が変更になったからです。

さらに、先生を信頼できないという理由で転院したこともあります。

その先生は、私が初めてお世話になった先生なのですが、私は先生に対して常にうっすらと疑問を感じながら通っていました。

治療内容に不満があったわけでもなければ、先生の性格がキツイとか、横柄だとかいうわけでもありません。ただ、なぜか診察後はいつも消化不良でモヤモヤが残りました。

最初は、「不調のせいで、そう感じるだけかな」「私の受け止め方がネガティブで、考えすぎてるだけかな」「先生と話すだけでスッキリ病気が治るんだったら、みんな苦労しないよね」そう考えて、同じ病院に通い続けました。うつ病治療は時間をかけて行うものだし、むやみに転院しない方がいいと聞いたことがあったので、結果を焦らず、まずは先生のことを信じようと決めたんです。

抗うつ剤や抗不安薬、睡眠導入剤などを処方してもらい、3カ月ほどで、急性期の身体の不調や絶望感は和らぎました。

しかし、それからなかなか変化がない……。良くなったり悪くなったりするのがうつ病だと理解していたものの、あまりにも改善する様子がなかったので、このままでいいのか不安になりました。

しかし、先生にそういった不安を訴えても、「あまり考えすぎないようにね」と諭されるばかり。毎回5分診療で、ゆっくり話す時間もない。薬の効果も感じられない。

そんな状態が何カ月も続き、私は先生に対して不満を持ち始めました。そのときに書いたメモを見つけたので、書き出してみます。
  • ○○先生・わかってない方の人
  • 仕事(気分)の波がある
  • 笑い方が不自然
  • 肩書きいっぱいですけど
  • あまり目を見て話してくれない
  • 初対面の時も全然 顔を見ず下を向く 正面で向き合わない
  • 資料を見ながら人の話を聞く 常に机に向いている
  • わざとドライにしているのか、本当にやっつけ仕事なのか
  • エリートコースで来ちゃったから、ハートフルじゃないとか?
  • 目力がない!死んだ魚のような目
  • 第一印象は良くなかったですよ。
  • 傾聴できるのかい???
……といったことが、ミミズの這ったような弱々しい字で書かれていました。綴られた言葉をそのまま書き起こしたので、ちょっと「?」と思うところもあります。「死んだ魚のような目」って自分のことだろ、など突っ込みたくなるところも多々。それでもこれが私の正直な感想であり、本音だったわけです。

一番大きかったのは、「先生が私の本当の気持ちを理解してくれない」と感じていたことです。診察は流れ作業で、先生は薬を処方するだけ、という印象でした。

そのような状態が続き、私の病状もあまり改善が見られなかったので、先生のことをどうしても信頼できなくなり、2年近く通った病院を変えることに決めました。

転院した結果


結果を先に言いますと、転院して正解!でした。

初めての診察で、「この人なら信頼できる!」と確信しました。私の直感が正しかったのかどうかはわかりませんが、新しい先生は、穏やかで優しく、私と向き合ってしっかりと話を聞いてくれました。うつ病の症状・薬についても、詳しく丁寧に説明してくれましたし、毎日の過ごし方や、私の疑問に対しても具体的にアドバイスをしてくれました。

その先生の診察は、安心できる雰囲気で、今まで私が感じていた消化不良でモヤモヤした気持ちをうまく吐き出させてくれるんです。まるで、泥沼にハマっている私を優しくすくい上げてくれるような感じでした。

新たな主治医のもとで治療を続けていくうちに、私はさまざまな考え方を知ることができ、症状が改善していると実感できるようになりました。

主治医との相性も大切


私の場合、転院するのは良くないことだと思っていたので、「先生のこと好きになれないけど、それは治療とは関係ない」と思って我慢していました。

確かに、薬の効果が出ないうちから転院したり、ドクターショッピングをすることはお勧めできません。
※ドクターショッピング・・・医療機関を次々と受診すること。「青い鳥症候群」と言われることも。

でも、先生に会うのが苦痛だったり、合わないと思ったら無理する必要はない。これは私が転院をして痛感したことです。

症状を改善するためには、自分の気持ちや本音を主治医に伝えることが大切です。いくら名医といわれる精神科医に出会ったとしても、あなたにとってその先生が生理的に受け付けないタイプだったり、信頼することができないと感じれば、腹を割って話すことはできませんよね。うつ病治療には、医師との信頼関係が不可欠です。

以前ご紹介した『みんなの女性外来 イライラ・落ち込みが激しいときの本』の中に、こんなQ&Aがありました。
Q.何度か通ったけれど担当医がどうしても苦手で……

A.医師との相性がわるいと思ったら、別の病院にかえましょう

転院は決して悪いことではないんですね。医師との相性も大切ということです。

うつ病治療のペースを最速にするために


うつ病治療は長期にわたります。あなたが納得できる治療を受けるために、セカンドオピニオンや転院について考えてみることも選択肢のひとつです。

【参考】今のうつ病治療に疑問を感じたら?―セカンドオピニオンという選択肢

私は信頼できる医師に出会うことができ、ラッキーだったと思います。いくら慎重に考えて転院を決めたとしても、必ず相性のいい医師に出会えるとは限りません。そういったリスクも考慮した上で判断していただけたらと思います。転院をする際には、今の主治医に紹介状を書いてもらいましょう。

あなたにとってベストな医師と信頼関係を築くことができれば、きっとあなたの心は癒されるはずです。


<本日の一冊>
対馬ルリ子総監修 (2009) 『みんなの女性外来 イライラ・落ち込みが激しいときの本』 小学館

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