診察を受けるとき、あなたはどんなふうに症状を説明していますか?
うつ病との付き合いも3年を超えた私は、今でこそ順序立てて話すことができるようになりましたが、つい最近まで、通院日が近づくたび、「診察では何をどうやって話したらいいのだろう?」と悩んでいました。
というわけで、今日は診察時に伝えるべきポイントについて考えてみたいと思います。「先生に上手く話せない」と悩んでいる方に参考にしていただければ幸いです。
最低限伝えておくべき5つのポイント
診察時に最低限伝えておくべきポイントは以下の5つです。
- 体の調子
- 心の調子
- 睡眠
- 食欲
- 薬
症状は人それぞれですし、うつ病の場合は「自分の考え方が甘いだけだ」と思って見逃してしまいがちな症状もあります。
まずは、うつ病の主な症状について知っておきましょう。
うつ病診断のための重要な症状
- 集中力と注意力の減退
- 自己評価と自信の低下
- 罪悪感と無価値感
- 将来への悲観的見方
- 自傷・自殺の観念や行為
- 睡眠障害
- 食欲の障害
- 妄想
- 幻聴
- 身体の症状
(『日本一役に立つうつとストレスの本』より)
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「どうですか?」と質問する理由
うつ病の主な症状を踏まえたうえで、実際の診察を想定して、どのように話したら医師に上手く伝えることができるか考えてみましょう。
まず必ず聞かれる質問がコレ。
「どうですか?」
そう聞かれると「どうもこうもないっての!」と言いたくなることありません? 私はよく「何でそんな答えにくい曖昧な質問をするのよ?」と思っていました。
でもこれにはちゃんと理由があるんですよね。
オープンクエスチョンをすることによって、患者が自分の言葉で好きなように話せるようにするのだそうです。「オープンクエスチョン」とは、答えの幅が相手に委ねられている質問。反対に「クローズドクエスチョン」は答えがYesかNoかに絞られる質問です。
例えば、「気分は落ち込みましたか?」と質問されたらどうでしょうか?
自分の中では、頭がボーっとしている症状の方が気になっていたとしても、「気分は~?」と聞かれることで、落ち込みはどうだったかということに注意が向いてしまいますよね。場合によっては医師の考えを押し付けるような形になってしまうかもしれない、と。
つまり、「どうですか?」という質問には自由に答えればOK。
「絶好調!(by 中畑清)」とか、
「別に・・・(by 沢尻エリカ)」とかもアリ?!
あまりにもぶっ飛んだ発言で先生を困らせない程度に、自分の素直な気持ちを伝えましょう。
「どうですか?」の解答例
ひとつの解答例として、私のこれまでの答えをご紹介します。参考になるかはわかりませんが。もし、もっと良い答え方があったら教えてください。
1.はじめに
医師:「どうですか?」
自分:
「気持ちが落ち込む日が多かったです」
「身体が重くてダルい日が続きました」
「わりと気分よく過ごせました」
と、まずは大まかに答えます。そのあと一呼吸おいて、気になる症状について詳しく話していきます。
2.身体の調子
- 「毎日とにかく身体がダルくて、頭がボーっとしています」
- 「以前に比べると、起きていられる時間が長くなってきました」
- 「めまいやダルさ、身体が重いと感じることが少なくなりました」
3.心の調子
- 「頭ではダメだとわかっていても、死についてばかり考えてしまいます」
- 「症状がひどかったときに比べればましですが、あまり良くなったと感じられません」
- 「ドーンと落ち込んだりすることが少なくなってきました」
4.睡眠
- 「何時に寝ても、必ず夜中の3時に目が覚めます」
- 「悪夢ばかり見て、目が覚めても、どっと疲れた感じです」
- 「薬を飲めば、眠れるようになりました」
5.食欲
- 「何も食べる気がしません」
- 「何を食べても味がしなくて、砂を噛んでいるようです」
- 「それなりに食べられるようになってきました」
6.薬
- 「あまり薬の効果を感じられない気がします」
- 「この薬を飲み始めてから、足がむずむずしてじっとしてられなくなりました」
- 「この薬の効果と副作用をもう一度教えていただけませんか?」
あらかじめ気になったことや聞きたいことなどを紙に書いておいて、診察時にそのメモを見ながら話すとスムーズに伝えられますね。
中には抑うつ症状がひどくて、医師と話をするのも嫌だからと、症状について書いたメモを先生に渡すだけ、という方もいらっしゃるそうです。
と、何やかんや偉そうに語っていますが、紙に書くことさえ面倒で何も準備しなかったのがこの私。
だって、うつ病だもの。はい、言い訳はよくないですね。
内容よりも、伝えることが大切
最後に、うつ病に詳しい専門家の方の意見をご紹介します。医学博士・産業医の三野善央氏は、医師との付き合い方、上手に治療を受けるコツの一つとして、
なにか伝えたいことがあるときには、必ず言葉にしてほしいとアドバイスしています。
うつ病を治すために、自分の症状を的確に伝え、知識的な部分を積極的に取り入れる姿勢は大切です。でも、「それができない!」と悩む必要はありません。
もしあなたが主治医にうまく伝えられないことで悩んでいるのなら、「自分のことをうまく話せなくて、悩んでいます」と、そのままの気持ちを打ち明けばいいんですよね。それも大事なあなたの気持ちなんですもの。
患者も医師も、人間。完璧な人はいません。
まずは、内容よりも伝える姿勢を大切に。ちょっと気持ちをゆるめて、人と向き合ってみてはいかがでしょうか。
<本日の一冊>
三野善央 (2010)『日本一役に立つうつとストレスの本』 メディカ出版
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