精神科と心療内科の違いは何かご存知ですか?

最近は精神科と心療内科の区別が曖昧になっているようで、うつ病に関する情報を見ていても、ほぼ同じものとして紹介されている場合が多いように感じます。

精神科と心療内科の特徴について、簡単にまとめてみました。


[精神科と心療内科の違い]
精神科 心療内科
特徴 医療機関における診療科目の一つ 心身医学(※1)を実践している診療科
心療対象 精神障害・精神疾患・依存症 心身症やストレスからくる身体症状
扱う病気 認知症
統合失調症
気分障害(うつ病、双極性障害)
パニック障害
PTSD、適応障害
解離性障害
摂食障害
睡眠障害
パーソナリティ障害
知的障害
自閉症、アスペルガー症候群
対人恐怖症 など
心身症、心気症
摂食障害
パニック障害
社会不安障害
うつ状態(≠ うつ病)
仮面うつ病
睡眠障害
自律神経失調症
過敏性腸症候群
心因性嘔吐症
心因性の発熱・めまい など

※1 心身医学・・・患者の身体面だけではなく心理・社会面を含めて、人間を統合的に診ていこうとする全人的医療を目指す医学の一分野。



病院形態(クリニック、病院など)の特徴についても簡単にまとめます。

[診療形態の特徴]
診療形態 特徴
診療所(クリニック)
  • 医師もしくは歯科医師が診療を行う場所のこと。
  • 入院施設がない or 19人以下の患者を入院させるための施設がある(※2)
  • 街中にあることが多く通院に便利。気軽に受診しやすい。
精神科病院
  • 入院施設がある。
  • 作業療法、デイケアなどの幅広い治療方法を備えている。
  • さまざまな症状の患者に対応。
  • 集中的な治療が可能。
旧総合病院(※3)の精神科
  • 身体的合併症を持った精神疾患患者の治療・リエゾン精神医学(※4)が可能。
  • 治療者がチームを組んで患者を支える。
大学病院
  • 教育・臨床・研究を担う、大学の附属施設の病院。
  • 旧総合病院の形態。
  • 高度先進医療の推進のため特定機能病院の認可を受けていることが多い。
特定機能病院
  • 難病など高度医療が必要な疾患を研究。
  • 高度な医療技術を開発・提供している。

※2 医療法第1条の5第2項。20人以上の入院設備を備える施設は病院。

※3 総合病院・・・許可病床数100床以上で主要な診療科(最低でも内科、外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科の5科)を含む病院のこと。従来は医療法で規定されていたが、1996年の医療法の改正により廃止。

※4 リエゾン精神医学・・・他科(内科・外科など)の医療者とチームを組んで、患者の精神的ケアを行う。これらの治療・診断やシステム、それに関する研究のこと。


<参考>
ウィキペディア